調査結果

首相の靖国神社参拝についての調査を行った。昨今、国際的なニュースにもなっているこの問題であるが、戦後50年以上たっていることから、「靖国神社」の歴史や本当の意味を知る人も減少している。この背景より、今回は「靖国神社について」の概説を行い、その後の首相参拝賛否をあわせて聞いてみた。
靖国神社についての解説をした後に、あらためて「首相の靖国神社参拝」について聞いたところ、「賛成から反対」「反対から賛成」の変更をした人は、わずかであった。「わからない・興味がない」から「賛成」または「反対」へ変更した人が多かったことは興味深い。
<首相の靖国神社参拝>
  初回質問時 解説後質問時
やめた方がよい 43.3% 47.8%
続けた方がよい 28.9% 33.9%
わからない/興味がない         25.5% 15.9%
この質問には回答しない      2.3% 2.4%
賛成反対の理由として、「やめた方がよい」は「周辺国への配慮が必要だから」(59.3%)、「続けた方がよい」は「外国から言われてやめるのはおかしいから」(47.4%)が1位となり、一般生活者が「世界の中の日本」「近隣諸国」を強く意識していることがわかる。
  ※この結果は一回目の「靖国神社の首相訪問賛否」回答の理由となります。
<やめた方がよいと思う理由>
  初回質問時 解説後質問時
周辺国への配慮が必要だから 59.3% 56.3%
A級戦犯がまつられているから 15.6% 14.3%
特定の宗教の施設だから 12.0% 14.6%
軍国主義の美化につながるから 7.9% 10.2%
  その他 5.3% 4.6%
     
  <続けた方がよいと思う理由>  
    初回質問時 解説後質問時
  外国から言われてやめるのはおかしいから 47.4% 45.0%
  戦死者をとむらう場所としてふさわしいから 26.4% 25.6%
  平和の誓いになるから 13.5% 18.7%
  小泉首相の信念だから 9.2% 7.9%
  その他 3.5% 2.8%
靖国神社に行ったことがあるかという問いには、「行ったことはない」が8割にもおよび、「参拝目的で行ったことがある」は5%に満たなかった。
<靖国神社に行ったことがありますか>
行ったことはない 79.8%
参拝以外の目的(観光・見学・散歩・花見など)で行ったことがある 15.8%
  参拝目的で行ったことがある 4.4%
(参考文献:板倉聖宣・重弘忠晴『靖国神社・そこに祀られている人びと』(仮説社) 調査結果

■Q1.首相の靖国神社参拝についてうかがいます。次の中から、あなたの考えをひとつ選んでください。

  初回質問時
解説後質問時
続けた方がよい 28.9% 33.9%
やめた方がよい 43.3% 47.8%
わからない/興味がない 25.5% 15.9%
この質問には回答しない 2.3% 2.4%
■Q2_1.Q1で「続けた方がよい」を選んだ方に伺います。そう考える理由をお聞かせください
  初回質問時 解説後質問時
平和の誓いになるから 13.5% 18.7%
戦死者をとむらう場所としてふさわしいから 26.4% 25.6%
小泉首相の信念だから 9.2% 7.9%
外国から言われてやめるのはおかしいから 47.4% 45.0%
その他 3.5% 2.8%
■Q2_2.Q1で「やめた方がよい」を 選んだ方に伺います。そう考える理由をお聞かせください
  初回質問時 解説後質問時
軍国主義の美化につながるから 7.9% 10.2%
特定の宗教の施設だから 12.0% 14.6%
A級戦犯がまつられているから 15.6% 14.3%
周辺国への配慮が必要だから 59.3% 56.3%
その他 5.3% 4.6%
■Q3.靖国神社に行ったことがありますか。
参拝目的で行ったことがある 4.4%
参拝以外の目的(観光・見学・散歩・花見など)で行ったことがある 15.8%
行ったことはない 79.8%
■Q4.靖国神社が設立されたのは、どの時代のことだと思いますか。
ア.明治維新(1868年)よりも前 16.4%
イ.明治、大正時代(1868~1925年)の間 42.2%
ウ.〈1930~45年のいわゆる十五年戦争〉と、その少し前の時期 17.2%
エ.敗戦の年(1945年)以降 24.2%
【答え】「イ.明治、大正時代」
靖国神社は、明治2年(1969)当初は〈東京招魂社〉として設立され、明治12年(1879)に〈靖国神社〉と改名されました。
■Q5.現在、靖国神社と日本国政府とは、どのような関係になっていると思いますか。
ア.民間の宗教法人の一つで、直接の関係はない。 67.0%
イ.単なる宗教法人の一つである以上の、半官半民の組織。 24.1%
ウ.国家機関の一つ。 8.9%
【答え】「ア.民間の宗教法人の一つ」
今の靖国神社は、民間の宗教法人の一つです。しかし,1945年の敗戦のときまで、靖国神社は国家のものでした。明治維新以降、神道は〈国教のようなもの〉とされ、神社はすべて〈国のもの〉でしたが、敗戦を期に他の宗教組織と同じように宗教法人になりました。
■Q6.これまで靖国神社に「まつられている人の数」は、どのくらいの数に達していると思いますか。
ア.1万人以下 6.7%
イ.1万~10万人の間 28.0%
ウ.10万~100万人の間 40.6%
エ.100万人以上 24.7%
【答え】「エ.100万人以上」
靖国神社のホームページによると、靖国神社には現在、246万6千532人の人が、まつられているそうです。(2005年10月17日現在)このうち、大東亜戦争による戦死者が213万余人です。
■Q7.いわゆる「A級戦犯合祀(ごうし)」について質問します。靖国神社は、どうして極東国際軍事裁判で「戦争犯罪人」として処刑された人まで、同社にまつることにしたのでしょうか。
ア.「死者はすべて平等だから、戦争犯罪人といえども、まつるのか当然」という宗教的な考え方による。 59.8%
イ.「極東国際軍事裁判は勝利者の一方的な違法な裁判だから、その犠牲者は戦死と同様」との判断による。 27.7%
ウ.うやむやのうちにまつられた。 12.5%
【答え】〈イ.「極東国際軍事裁判は勝利者の一方的な違法な裁判だから、その犠牲者は戦死と同様」との判断による。〉です。
靖国神社社務所発行(2001年8月)のパンフレット『やすくに大百科』には、こう書かれています。
「大東亜戦争が終わった時、戦争の責任を一身に背負って自ら命をたった方々もいます。さらに、戦後、日本と戦った連合軍の形ばかりの裁判によって一方的に〈戦争犯罪人〉というぬれぎぬを着せられ、むざんにも生命をたたれた1068人の方々……靖国神社ではこれらの方々を〈昭和殉難者〉とお呼びしていますが、神さまとしておまつりされています」
靖国神社はそのホームページでも「東京裁判(極東国際軍事裁判)は、国際法を無視した不当な裁判であった」と主張しています。
■Q8.靖国神社問題について、何かご意見があればお書きください。
  • 靖国神社そのものは厳かで威厳に満ちていて、参拝していると身が引き締まる思いがする。日本人の精神があそこにはあると思う。ただ、小泉さんが総理大臣として参拝するのは反対。一個人として人知れず行くべきだと思う。あのような参拝の仕方だと、政治姿勢と同じで、パフォーマンスとしか私には思えない。(51歳女性、パート・アルバイト、秋田県)
  • 靖国神社問題で首相の面子を誇示して参拝しようとしているが、現在の日本の状況、周辺国の感情から今の段階では参拝を取りやめたほうがよいと思う。戦没者を思う気ちは靖国神社で拝礼しなくても首相官邸でも別の場所でも形を変えてできると思う。日本の国益を考えるなら、今強行するべきでない。(50歳男性、会社員、宮崎県)
  • 外国に言われるから、それならばやめるというのでは、一国の総理大臣として自分の意見や考えを持たなさ過ぎると思う。小泉さんは、自分はどんな思想を持っているのかを国民や他国に説明し、なぜ、靖国参拝に至るのかをきちんと話すべきではないかと思う。(26歳女性、専業主婦、滋賀県)
  • 戦後の復興は国の為にと戦争で亡くなった多くの人々の犠牲を土台に成り立ったものです。日本の宗教感の良いところは全てを包み込む包容力にあると思います。時代の流れの中で過ちを犯した人も多かったことでしょう。大きな意味での祖先をおまつりするのに遠慮はいらないと思います。軍国主義の時代に戻らないためにも参拝は大切なことだと思います。(61歳女性、専業主婦、奈良県)
  • 日本国民が自国の為に犠牲になった英霊に敬意を示すのが当然で、その行為に対して他国がなんら異議を唱えるべきではなく、ましてや日本国民が他国の意見の尻馬に乗って小泉総理の参拝を批判するなんてとんでもない。ただ小泉総理もあくまで参拝は一私人の枠を超えるべきではない。(65歳男性、無職、埼玉県)
  • 戦争でなくなられた方々はA級戦犯の方もそうでない方も同じく供養されることには異議はありません。ただ、周辺国からすると日本の首相が参拝するのを批判するのは仕方が無いことと思います。例えるならば、ドイツの首相がヒトラーをお参りするようなものではないでしょうか。(34歳女性、会社員、長崎県)