調査結果

日々の暮らしのなかでの環境活動に関して男女を比較すると、全世代をつうじて女性のほうが男性よりも積極的に取り組んでいる。
環境意識は年代によっても格差があり、意識の低い層を形成する20代以下の世代と急に高まる30代以上の世代との間に断層的とも言える大きなギャップが存在することもわかった。
調査結果のハイライトは次のとおり:

(1)環境意識の年代格差
アンケートへのレスポンス率を環境問題に対する意識のレベルと解釈すると、20代以下では25%と低調で、30代から急上昇して35%を超え、その後は年齢とともに高まり60以上の世代では40%にまで達するというパターンを描く。

(2)生活者が意識する三大環境問題
生活者が自分の暮らし方との因果関係を感じている三大環境問題は①生活ゴミ問題、②地球温暖化、③水質汚染、だった。

(3)クールな40代
40代は環境問題と暮らし方との因果関係をどの世代よりも低く評価する傾向がある。

(4)女性がリード
日常生活のなかでの環境に配慮した行動は世代を問わず男性よりも女性により多く見られる。

(5)「環境大臣」のリーダーシップ
「環境大臣」のいる世帯では環境活動がより活発である。

以下に調査結果の概要を紹介する。

■1.環境問題に対する責任の認識

地球、地域、国際という三つのスコープで整理した21種類の環境問題に対して、生活者が自分の日々の暮らし方との因果関係を意識しているかどうかを尋ねたところ、ベスト3は①生活ゴミ問題、②地球温暖化、③水質汚染で、全世代を通じて8割以上の人がyesと回答した。逆に責任意識が希薄なワースト3は①塩害、②モノカルチャー、③遺伝子汚染だった。(図1)

10代から60歳以上の全世代をつうじて半数以上の人が認識しているのは、率の高い順に、生活ゴミ問題、地球温暖化、水質汚染、オゾン層破壊、大気汚染、森林破壊、海洋汚染、酸性雨、騒音公害であった。また光害、土壌流出、モノカルチャー、遺伝子汚染、塩害は認識率が3割以下と低かった。

世代間の特徴的な差異としては、40代が全21項目の環境問題のうちじつに10項目において最低の認識率を記録している点が目立っている。環境問題が人々の日々の暮らし方に原因があるという見方に対してこの世代はやや悲観的あるいはクールな判断をしているのかもしれない。

アンケートへの参加率の面から世代間の差異を見ると、24%(10代)・26%(20代)・36%(30代)・35%(40代)・38%(50代)・41%(60以上)と20代以下の関心がひときわ低く、若い世代の環境問題への関心が未発達であることがわかる。

(図1)
■2.日常生活の中での環境活動
今年ここまでの三ヶ月の間に生活者が自分で行った環境活動を15項目の中から複数選択してもらった。ただし、家電やPCのリサイクル経験については過去一年間を対象とした。

ナンバーワンにランクされた「シャンプーや洗剤の詰め替えの利用」率が90%以上に達するなど、多くの項目が高い率で実施されており、生活者の環境問題への関心の高さがうかがえる。

上位6項目は、①シャンプーや洗剤の「詰め替え用」を買った、②地域のルールに従ってゴミの分別をした、③部屋の照明をこまめに消した、④暖房の温度を低めに設定した、⑤洗面所やキッチンで水道をこまめに止めた、⑥牛乳パックやトレーなどをリサイクルした、であった。

男女で実践率を比較すると、ほぼすべての項目で女性が男性を上まわっており、環境に配慮した行動のリーダーシップは女性にあると言うことができる。

中間的なランクに入った6項目は以下のとおり。

⑦使用済テンプラ油などを下水道以外の方法で処分した
⑧商品の容器や包装などを捨てる時に「紙」「プラ」マークを確認した
⑨テレビ等のリモコン待機電源を切った
⑩買い物に買い物篭やマイバッグを持参した
⑪使用済みの家電製品を家電リサイクル料金を支払って処分した
⑫車は燃費を良くするような運転を心がけた。(または車の利用回数を減らした。)

料理や買い物での男女の役割分担が背景にあるのか、テンプラ油の処分や買い物のマイバッグの利用では男女差が開いている。商品パッケージの「紙」「プラ」マークの確認でも男女差が大きいのは、男性がゴミ分別の知識や意識が低いことをうかがわせる。男性は車の省エネ運転では上位になっている。

テレビなどの待機電源を切ることに関しては若い世代で高くシニア世代で低い。家電製品の有償でのリサイクルは世代が上がるにつれて大多数の人が経験している。

低位になった3項目は以下のとおり:

⑬生ゴミの自宅での資源化を行った
⑭使用済みの家庭パソコンをPCリサイクル料金を支払って処分した
⑮その他の家庭利用製品をリサイクル料金を支払って処分した。

生ゴミの資源化は50代以上で高くなっており、庭のある住居の所有率と連動している可能性が考えられる。PCの有償リサイクルは60以上の世代が最も高い率となっている。

 
■ 3.「環境大臣」像

「環境大臣」の世帯出現率は23.6%であり、ほぼ4世帯中1世帯に、高い環境意識をもって行動する人がいることを示している。

「環境大臣」は女性が圧倒的に多い。年齢分布的には男女とも55歳から65歳のあたりにピークがある。ただし平均年齢を計算すると男女ともに48歳となる。

女性の分布は一つのピークを持つ単純な形になるが、男性は30歳、40歳、60歳に小さなピークが分散している。
「環境大臣」の世帯内での立場は父母が最も多く、その次に子である。特に母親が全体の46%で父親の22%を大きく引き離してトップの座を占めている。

したがって「環境大臣」の典型的なプロフィールは48歳の母親ということになる。

■ 3.「環境大臣」の影響力

「環境大臣」の熱心さを、①自分一人でコツコツと、②世帯内でリーダーシップを発揮、③世帯の外(社会)にも影響力を及ぼす、という三段階で評価してもらった。

「環境大臣」の54%は世帯内のリーダーであり、とくに女性は59%とその傾向が強い。社会にまで影響を及ぼすリーダーシップの割合は男性で17%、女性で12%と、やや男性優位である。男性は自分一人でコツコツとやる人の割合が36%と女性の29%を上まわっている。

年代別・男女別の分布を見ると、世帯内のリーダーは60歳前後のピークに向かって年齢とともに増える傾向がある。しかし社会的リーダーは各年代にほぼ満遍なく出現しているように見える。

「環境大臣」がいる世帯といない世帯とで、15項目の環境活動のうち実行した項目数の平均値と標準偏差を比較して見た。それによると、「いる」世帯では平均8.5件「いない」世帯では平均7.3件と「いる」世帯が上まわった。標準偏差は「いる」世帯が2.3、「いない」世帯が3.0であり、「いる」世帯の方が件数の散らばりが少ないことがわかる。

従って、「環境大臣」のいる世帯の方が、そうでない世帯よりも、環境活動が全般的に活発であると言える。

【調査概要】

(1) 調査期間 2006年3月20日~27日
(2) 調査手法
 iMiネットメンバーから年代別に無作為抽出し電子メールで案内し、webアンケートで回答を回収した。回答者には全員5ポイント(50円相当)の謝礼を付与。
(3)配信数と回答数
(4)設問中の環境問題の分類は以下の通り:

【地球環境問題】
・地球温暖化・オゾン層破壊・砂漠化・森林破壊・生物の多様性・酸性雨・異常気象
【地域の環境問題】
・生活ゴミ問題・産業廃棄物・大気汚染・水質汚染・土壌汚染・騒音公害・光害・有害物質(ダイオキシンなど)・塩害・土壌流出
【国際的な環境問題】
・海洋汚染・有害廃棄物の越境移動・モノカルチャー(単一の農作物を大規模生産する農業形態)・遺伝子汚染

【調査の背景】
本調査は、株式会社ライフメディアの2005年度環境活動の一環として、社会貢献をおもな目的として実施したものである。調査内容はニフティ株式会社との共同企画である。

以上